森博嗣『まどろみ消去 MISSING UNDER MISTLETOE』講談社文庫

ネタバレ注意。
家庭内読書会「森博嗣完全読破」企画、第六回課題本。
中坊の初読時は肩すかし感にモヤモヤしていたような記憶がありますが、それ以来の再読ではさすがにしっくりきました。実際ほとんど何も憶えてなくて(「やさしい恋人へ僕から」のオチすらも!)、新鮮に読んだのだけど。
「虚空の黙祷者」「悩める刑事」といった小粋でスパイシィなサスペンスにも、ファニィなケレンと共に背景に沈んである「彼女の迷宮」にも、「純白の女」「何をするためにきたのか」「心の法則」らのポエトリィと不条理にも、「真夜中の悲鳴」から「誰もいなくなった」に至る四作は大学モノでもありシリーズファン・サービスでもありと、いずれにも色濃く「森博嗣」を感じます。「キシマ先生の静かな生活」において、最近の啓蒙的仕事が既にして高い小説的達成をみていることは言うまでもなく。
大体の手札は既に見せてた、と言うか、森博嗣は最初から森博嗣であったという単純なことですが。
評価はB(再読)。

まどろみ消去 (講談社文庫)

まどろみ消去 (講談社文庫)