野田秀樹『僕が20世紀と暮していた頃』中公文庫

ネタバレ特になし。
消えていった20世紀の事物を、2035年の野田老人が、二人の孫に語り伝える、という体裁のエッセィ集。
これ、面白かったです。人物評ではないので、癇に障る毒舌がなかったのもよかったのでしょうが、過去の記憶・エピソードの生々しさや繊細さ、それを含めた題材への切り込み方、今まで読んだこの人の本の中で一番、知性と本来の意味でのユーモアを感じさせてくれました。…まあ、オチは大概ダジャレだけどね。
ベストは「ピンクの冷しそうめんの章」、《年のいったイトコとか、定職についていないオジ》(192p)のくだりかな。
評価はB。

僕が20世紀と暮していた頃 (中公文庫)

僕が20世紀と暮していた頃 (中公文庫)