ネタバレ一応注意。
アメリカ人探偵が、日本でドタバタ。スラップスティック・ハードボイルド。
極端にカルい探偵の造形など、ハードボイルドをコメディ化する手つきはユーモアたっぷり。でも文章は芯の強い、しっかりしたものなので、いかに表層が軽佻浮薄なりとも、小説としての印象は堅牢だ。
どんでん返しに至る伏線の張り方も、非常に丁寧かつ洗練されている。ミエミエのオチではあるけれど、そのためまったく不満はおぼえなかった。さすがは『弁護側の証人』の作者。今月復刊されたみたいだで買おうかな…。
というように、あとがきで作者が述べているような、諸般の事情による「間延び感」以外は、しっかりした隙のない小説だけど、中国人に対する蔑視があからさまで、なんかそのあたりかわいいと思ってしまったw
評価はB−。
- 作者: 小泉喜美子
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 1981/01
- メディア: 文庫
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