大槻ケンヂ『新興宗教オモイデ教』角川文庫

ネタバレ一応注意。
なんかどっかで読んだような話だなーと思って。したらアレだ。中島らもだ。超能力者が殺し合う話は『ガダラの豚』だったか『空のオルゴール』だったか。前者は呪術師で後者は奇術師だったような気もするが。まあオリジナリティを云々するつもりはなくて、ライトでユーモアのある筆致が好みだったよ、という話です。中島らもも大好きです。
という、軽いタッチでコメディライクに読ませる宗教戦争小説・ボーイミーツガールフレイヴァですが、ラストの悲哀や、要所要所に絡ませてくる、ジャパニーズ・パンク勃興期のバンドたちへの憧憬と、さすがセンチメントの使い方を心得た作家・オーケンです。良質です。エッセィの時も思ったけど、こういうセンスこそ、なによりの持ち味なのだな。
評価はB。

新興宗教オモイデ教 (角川文庫)

新興宗教オモイデ教 (角川文庫)

表紙がいいのに書影がないのね。
追記。あった。