国枝史郎『神州纐纈城』河出文庫

ネタバレ注意。
去年新刊で買って、最初に読んだ時は途中で挫折してしまったのだけど*1、月イチ12時間バス移動に際して再挑戦してみたら、これが苦もなく、というかむしろ楽しく読めてしまいました。リズムを掴む、というかむしろ集中力、というかむしろ他に選択肢のない状況に置かれるって大事よね。
で、「伝説の伝奇小説」です。湖の中に立つ城。そこに囚われた者たちの血で染め上げられる真紅の布…「纐纈」。富士の峡谷に開かれた宗教村落。触れた者は癩に罹り朽ち落ちてしまう、人型の火柱…纐纈城主。おどろおどろしいモチーフを、時代がかりながらも芯の強い、美しい文章で絢爛な伝奇絵巻に織り上げた手腕は、確かに伝説として語られるに相応しい。
しかし惜しむらくは…未完…最初に言ってくれ…。だから「伝説」だったのか…。
評価はB。

神州纐纈城 (河出文庫)

神州纐纈城 (河出文庫)

*1:通勤途中にスラスラ読めるような文体じゃないってのと、時代物に対する単純な苦手意識のせいだと思われ。