西澤保彦『収穫祭』幻冬舎

ネタバレ一応注意。
途中から数えるのをやめたが、一体何人殺してはるのでしょうか。
寒村での大量殺人事件をベースに、幾多の因縁と妄執、狂的なリビドーを、煮えたぎるような濃密と迸るパワーで絡ませ織り上げた、血と体液のサーガ。エクストリーム。
以前西澤と同系の乾くるみを、西澤よりブラックでシニカルだとか評したことがあったけど、これに接した後ではそうも言ってられなくなるな。別にシニカルではないけど、コレ。どっちかと言うとクレイジー
プロットの巧緻においては、作品のボリュームの割に物足りない部分はあるのだけど*1、とにかく1944枚、この厭な話を読ませきる筆力を評価すべし。否応なく『シンセミア』を思い出したけど、阿部和重あたりと並べて語るべき作家・作品であるのかもしれない。由宇には萌えたけど、そのあたりについても似た感性が窺えると思います。
評価はB。

収穫祭

収穫祭

*1:要るか? 謎の秘密結社。