桜庭一樹『少女には向かない職業』創元推理文庫

ネタバレ注意。
凄く面白かったです。
それぞれ家庭環境に問題を抱えた、女子中学生二人の「殺人」を、彼女らの住まう「島」の閉塞感や思春期的な陰鬱と絡ませて描く。「職業」=「殺人」もメインの動機はその家庭環境だし、ラストもメルヘン、あるいはご都合主義的な救いはなく、ただ女子中学生の愚鈍さそのままの破綻を迎えるだけのものだが、それでも…作品全体に漂う、この奇妙な爽快感はなんなのだろう。
読み終えてから言葉を探そうとがんばってはみたが、この感覚は無理だ。『ブルースカイ』でも感じたけど、まったく独特で、自在の筆。そりゃ直木賞も本命視されるわな。
ミステリとしての構成は堅牢なものでは決してないけど、なにより一編の小説としてクオリティは高い。
評価はB+。

少女には向かない職業 (創元推理文庫)

少女には向かない職業 (創元推理文庫)