佐藤多佳子『しゃべれどもしゃべれども』新潮文庫

ネタバレ注意。
あおい結婚おめでとうあおい。
さて、本屋大賞受賞でアツくなり始めたこの作家の周辺。ブクオフで100円で買ってた旧作を引っ張り出したのですが。
初読でしたが、あまり肌に合う作家ではないな、という印象。文章やキャラ立てが、作者の意図が透けて見える大袈裟なものに感じられました。主人公のイナセな感じが鼻についたし、子役の健気な率直と屈折は正直言って寒かったな。
ディスコミュニケーションのコンプレックスを抱えたひとびとが落語を学び、またそこでの交流を通じて教師である落語家自身も成長する、というプロットは面白いものになりそうだし、実際なにも克服されてないという物語の畳み方もなかなかトガっていたけど、作者があまりにも周到すぎて、小説としてのダイナミズムというか、勢いが失われてしまっていると思う。
香里奈は怖ろしいぐらいのハマり役だが、国分はどう考えても違うな。
作品の評価はC。

しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)

しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)