川上弘美『蛇を踏む』文春文庫

ネタバレ一応注意。
幻想的な三編からなる作品集。
純文学作品にはやはりコレを求めたい、というしっとりした上品さと、女性作家らしいやわらかさがありながら、でも一方でトガった部分として持っているものもあって。幻想的なイメージはトガってはいてもそこまで高踏的ではなく、しかしそう簡単に文学的寓意が透けて見えるような卑近なものでもない。少なくとも裏表紙梗概の「若い女性の孤独と自立」だの「現代の家庭」だのといったコトバで捉えきれるようなものでは。
表題作と「消える」は愉しく読めたけど、「惜夜記」までカッ飛んでしまうと、ちょっとついていけない感じはあったかな。しかし松浦寿輝の解説はなかなかいいな。
評価はＢ−。

蛇を踏む (文春文庫)