島田荘司/綾辻行人『本格ミステリー館』角川文庫

ネタバレ特になし。
新本格勃興期における、島荘と綾辻の対談本。
姓名判断がどうとか、島荘の音楽活動*1の話とか、あといつも通りの島荘流日本人&女性disあたりは笑って読めるけど、島荘熱弁完全空回りの「本格ミステリー」論、そのすれ違いっぷりたるや、その後島荘が若手作家から総スカンくらったって新本格史実鑑みても哀しみの深いものである。
綾辻が求めてるような客観性、厳密性や理論段階の話は俺も社会学徒だったからよく分かるのだけど、それ以前に島荘の言ってることはメチャクチャで独善的だわ。そりゃ綾辻も困惑する一方で議論として成立しないよ。それを傍で生温かく見守って解説書いてるのが笠井潔って図は面白いけどな。
なんて言うのか、俺たちはもっと無邪気にこの本格って稚気を愉しめるはずだったよね。でも島荘、あなたが確立を目指した「本格ミステリー」においては、その最も理想的な体現者であろう京極出てきたからさ、いいよねもう。
評価はB。

本格ミステリー館 (角川文庫)

本格ミステリー館 (角川文庫)

*1:しかしこの波乱万丈の半生と意味不明の広い人脈なんなの…。アグレッシヴな人生だよ作風と一緒で。