京極夏彦『鵼の碑』講談社ノベルス

ネタバレ注意。

日光を舞台に、縺れ合ういくつかの事件と謎、それに揺曳する「鵼」という憑物を落とす、百鬼夜行シリーズ最新長編。

遠い記憶の『陰摩羅鬼』や『邪魅』よりは、スリリングで愉しめたように思う。字組優先主義に対する先入観のゆえか、冗長に感じるところがないではないが…。

中心となるネタに関しては、今コレをクリティカルに扱ってくれることが嬉しかったし、またある関係者をめぐって示される構図には(本筋と関係ないところで)アゲられた。このネタにサンカまで絡めたプロットは大盤振る舞いで、もったいなく感じてしまうほどだったが、出し惜しみされても次いつ読めるか分からんしな…『幽谷響の家』は、十七年も待てませんよ!

関口は復調気味だったので、こいつがグダグダやる不快感がなかったのはよかったと思うが、その分榎木津の出番が少なかったのは残念。鳥ちゃんは、むずがりたいですね、の一言だけで光ってました。

評価はB。