井上真偽『聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた』講談社ノベルス

ネタバレ注意。
シリーズ第二弾は、地方の名家の結婚式中に発生した多重毒殺をめぐる推理合戦。
伏線と推理の無間地獄は、期待の通りテンション爆アゲのエクストリームです。正直言うと、前作における「捨てトリックが連鎖して探偵を追い詰める」という趣向がない分、推理合戦の構築性と衝撃において一歩譲るような印象だけど、各章のラストに典型的なように、人を食ったような物語のドライヴ感はパワーアップしていて、そっちとの連環でロジックのスリルを魅せている。ところどころロジックがうまく呑み込めないところがあるけど、まあ変態（褒め言葉）の考えることだし別にいいわ。
しかし古野まほろにしろ、新本格の「鬼子」ってのは、やっぱ講談社から出るんだな…。八ツ星くんの登場シーンとかも、榎木津少年版みたいで素敵でした。
評価はＢ。

聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた (講談社ノベルス)