ネタバレ注意。
長じてジャーナリストとなった『さよなら妖精』の太刀洗万智が、日本各地の事件に関わる連作。
主人公のキャラクタそのまま、ストイックな雰囲気に包まれ、鋭い批評性にも考えさせられる、正しく社会派の作品集。太刀洗のロジックは飛躍も多いが、それにより鋭い切っ先を露わにする批評性と、思いもかけない*1連環を見せる伏線の妙で読ませる、ミステリ巧者の仕事です。
「名を刻む死」のラストに見えるシビアなヒューマニティと、「ナイフを失われた思い出の中に」のロジックのこまやかさに特に感心しました。
評価はB−。
- 作者: 米澤穂信
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2018/03/22
- メディア: 文庫
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*1:…若干、あ、コレ伏線だな、てのが露骨な場面もあるにはあるが。