島田荘司『盲剣楼奇譚』文春文庫

ネタバレ注意。

金沢を舞台に、元遊郭「盲剣楼」をめぐる伝説と、現在の幼児誘拐事件の交錯を描く、吉敷竹史シリーズの長編。

…などと思わせておいて、実際は「疾風無双剣」なる作中の剣客時代小説がメイン。900ページ中の700ページを、安っぽい剣客小説読まされるじゃねーか。元は新聞連載らしいけど、島荘で単発の時代小説じゃ売れないから、ムリヤリ吉敷の額縁つけやがったな、と釈然としない思いで読みました。「不逞朝鮮人」を殺戮する展開も、かつての御大…たとえば『奇想、天を動かす』…と、頭Qアノンと化した現在を思うになんとも寂寞とした思いになるのが本来だろうが、もはやどうでもよかった。

大体このテの剣豪ものって、剣を取れば無敵、近づいた女は必ず惚れる、異世界チートハーレム転生と何が違うのよと思います。

評価はC。