津原泰水『歌うエスカルゴ』ハルキ文庫

ネタバレ一応注意。

編集者職をリストラされ、いろいろあってエスカルゴをメインとするビストロのシェフになる主人公の悲喜こもごもを描く、グルメ・ビルドゥングス・ロマン。

ホラーや耽美の世界においては至上のものと感じられる津原の美文、エンタメ系の小説になるとなぜこうも煩く感じられてしまうのだろう…と残念でした。なんか全体的に上滑ってるんだよな。

グルメ小説として、さすがに眼目のエスカルゴは唾液がじゅるりと美味そうだけど、他の居酒屋メニュー系は北森鴻のが一枚上手だと思います。共に早逝されましたね…美食は寿命とバーターというわけでもないだろうに…。

評価はC。