2022-11-06 米澤穂信『Iの悲劇』文春文庫 reading ネタバレ注意。無人となった村、蓑石へのIターン事業をめぐる様々なトラブルの顛末を描く、地方公務員ミステリ連作。題材が抜群の面白さだし、シニシズムとユーモア、哀調のバランスもよい。「深い沼」での対話や、終章で明かされる事件の構図など、単に賑やかしで選んだわけではない、題材に対するしっかりとした考察が窺われる。総じて小説巧者のさすがの佳作と言えるが、連作ミステリとして見た場合、どれか一つだけでも、膝を打つような単体としての好短編があればな…とは思った。評価はB-。Iの悲劇 (文春文庫 よ 29-3)作者:米澤 穂信文藝春秋Amazon