近藤史恵『シフォン・リボン・シフォン』朝日文庫

ネタバレ注意。

地方のさびれた商店街にオープンしたランジェリーショップをめぐる連作。

題材からして、俺が苦手なタイプの近藤さんかと身構えていたけれど、いやいやとてもよかったです。日本でジェンダーを考える上での諸相が、とてもリアリスティックに胸に迫ってくるし、そうして刺すシーンがしっかり描かれているからこそ、そこからの救いや解放が感動的。佐菜子の自己肯定も、均の篤紀に対する述懐も、泣けました。

人が自分らしく生きることを妨げるもの、そしてそれから自由であるために必要なものは何なのか…とてもよく「人間が描けている」佳作と思います。

評価はB。