円地文子『食卓のない家』中公文庫

ネタバレ注意。

学生運動が行き着いた先としてのリンチ殺人、その加害者家族の陥る軋轢と苦悩を描く家族悲劇。

質量共に充実の大作。神の視点で関わる人物を次々に替えながら、熟練の筆致で読ませる。熟年男性の恋愛沙汰にフォーカスしていくあたり、ちょっと軟らかめの『悲の器』って感じだったかな。同時に他の主題を反映したものであれ、おっさんの色恋での煩悶読まされても…という感じはしたが。

ハイジャック~牧場に至る流れもちょっとベタに感じた。まあ事実は小説より…か。

評価はC+。