北村薫『中野のお父さん』文春文庫

ネタバレ一応注意。
文宝出版文芸編集部員・田川美希がつきあたる、出版業界での謎やトラブルを、国語教師の父親@中野の実家が解き明かす、日常の謎×安楽椅子探偵連作。
久々に北村薫読んだけど、やはり独特の風情がある文章・世界観が心地よいし、ビブリオマニアックもほどほどに薫って、心あたたかに読めるシリーズであります。いろんなところに散りばめられた小ネタもリアルで、作家生活、編集関係者たちとの交流の中でも常にアンテナ張ってはるんやなーと、センス・オブ・ワンダーに感じ入るところ大。
一番面白かったのは「闇の吉原」、宝井其角の句の解釈論のまとめだけど、こうまで面白く小説としてまとめてしまうあたりに、名アンソロジスト/紹介者としての所以を見つつ、これもセンス・オブ・ワンダーだなあと。
評価はB−。

中野のお父さん (文春文庫)

中野のお父さん (文春文庫)