麻耶雄嵩『貴族探偵対女探偵』集英社文庫

ネタバレ注意。
シリーズ短編集。駆け出しの女探偵が貴族探偵と推理対決を行う、という統一された趣向がタイトルの謂。
前作ほどのケレンはなく、比較的端整なパズラが多い印象。「むべ山風を」のティーカップから転換するロジックとか面白いと思ったけど、膝をうつようなトリック/プロットの面白さってのはなかったな。連作ラストの仕掛けにはニヤリとしたが。
最近刊行ペース速くて、作風も若干変わってきてる感じだけど、寡作時代のが破壊力はあったよな…独特の歪んだ筆質*1はそのままなので、端正な…ないしおとなしい作品はバランス悪く感じる。
まあ、ご健筆は何よりですが。麻耶が一番書くようになるなんて、想像できんかったなw
評価はC。

*1:文章…《山と川しか見えないいささか単調な風景は、自然そのまますぎて、醤油もつけずに食べる刺身のようにも映る。》(217p)ってw