ネタバレ注意。
短編集。
戦前の作らしく古色を帯びた風情であるけど、それを心地いいレトロ感と感じさせてくれる端整な筆質でした。
また同時にミステリの結構としては、表題作のホワイダニットや、「石塀幽霊」の麻耶真っ青の奇跡的な物理トリック、「あやつり裁判」のワンアイデア・プロット、「雪解」の奇妙な味とブラックなオチ、「坑鬼」の本格推理に奉仕する特殊状況設定と、「本格探偵小説」における多様な見所と、現代本格に通じるようなテイストも見受けられて、いい切れ味とセンスを持った作家だなあという感じがしました。
戦没はいかにも惜しい…巻末の随筆もせつないですね。
評価はB−。
- 作者: 大阪圭吉
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2001/10
- メディア: 文庫
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