ネタバレ注意。
死神ルックスの乙姫警部を探偵役とする、倒叙ミステリ・シリーズ。タロット・カードをモチーフとした四編。
倉知らしい、よく整理され、ユーモアの香りをまぶした、質の高い文章と情報提示がされていて、読んでて小気味いい。作者の地頭の良さを感じます。こういう信頼感って大事だよな。
冒頭二編はまあ、それなりかな…なんて思っていたけど、「恋人たちの汀」の、チラシから発展していくロジックには久々に目くるめくような感覚を味わえたし、「吊られた男と語らぬ女」のホワイダニットは胸が締めつけられるようだった。
よくある倒叙ものには食傷気味だったけど、しっかりとオリジナリティの牙を突き立ててくる。良作です。
評価はB。