石持浅海『月の扉』光文社文庫

ネタバレ注意。

ハイジャックされた機内での死の謎を描く、クローズド・サークル本格長編。

エッジの効いたクローズド・サークル設定はお得意のもの。今回はそれに様々なホワイダニットと、個人的に大好物の宗教ネタが絡められていて面白い。作者の歪んだ倫理観も、今作についてはいい方に作用していると思う。

ハイジャックの理由、トイレに出現した死体に関しては、それぞれ納得のいく面白いホワイダニットだったが、最後、月の扉が開く直前でのそれはややトゥーマッチだったかなーと思わんでもない。あとは殺人場面でのロジックにもう一段の妙味があれば、文句なしの傑作だったな。

評価はB-(再読)。