ミステリー文学資料館(編)『甦る推理雑誌 2 「黒猫」傑作選』光文社文庫

ネタバレ特になし。
戦後の推理小説専門誌、「黒猫」「トップ」「ぷろふいる」「探偵よみもの」からの選集。
「本格」としての完成度はさておいて、「探偵小説」というものの持つ夢幻/妖美の浪漫性という意味においては、雰囲気のある作品揃い。天城一香山滋角田喜久雄といったあたり、この世代の作家に明るくない俺でも名前を知ってる「大家」の作品は、やはりさすがだなあという感じでありました。
しかしそれらとはまた違った意味で…祖父の本棚に、なんだか愛想のよくない感じで並んでた「大衆小説」の作家というイメージで…名前を知ってた島田一男*1の「芍薬の墓」がベスト。このクローズド・サークル夢幻譚の妖しくておどろおどろしくもどこか滑稽なイメージ、すごく魅力的なオリジナリティだと思いました。イメージ覆されたわ。
評価はB−。

「黒猫」傑作選―甦る推理雑誌〈2〉 (光文社文庫)

「黒猫」傑作選―甦る推理雑誌〈2〉 (光文社文庫)

*1:4/14追記。あれ、島田一男じゃなくて清水一行だったかも…かもかも…。