ネタバレ注意。
「ミレイの囚人」は、『ミザリー』テイストのスリラと思わせてのトリッキィなパズラ。プロットの転換、シンプルなトリック、共に好みの手付きで久々に気に入った…のにも関わらず、ラスト近くで少年法がどうのと暑苦しいお説教が始まってゲンナリ。枯れた味わいのあるテクニックに、老いてなおアツい社会派魂が不似合いな怪作。
その他、犯人当て趣向の短編がいくつか収められているけど、いずれもパズラとして愉しめた。やっぱ筆質が社会派じゃないと思う…自称では「人生派」らしいけどそれならなおさら、ベタで安っぽい、社会に翻弄された人生悲劇が読みたいわけじゃないんだわ。
評価はC。
ミレイの囚人/あなたも探偵士になれる―土屋隆夫推理小説集成〈6〉 (創元推理文庫)
- 作者: 土屋隆夫
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2002/08
- メディア: 文庫
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