『キリング・フィールド』

DVD。
特派員として派遣されたアメリカ人ジャーナリストの視点からの内戦下カンボジアと、そのガイドであった現地ジャーナリストが生き延びるクメール・ルージュによるジェノサイドを描く戦争映画。
ポル・ポト政権下カンボジアクメール・ルージュによる支配ってのは、個人的に現代史の中で最も興味のある分野。そこに至るまでに映画は四分の三を過ぎてしまうけど、残り四分の一で描かれるプランの地獄彷徨は濃密で、その部分では十分なものがありました。少女党員の残虐性も、キリング・フィールドの情景も、知識として知ってはいてもショッキングすぎる。
そしてその後、ドラマとしては感動的なシドニーとプラン再会のエンディングも、どう受け止めればいいのか迷ってしまうものがあって。『ショーシャンク』のエンディングを思い出すけど、皮肉な対照性があって単純な友情礼賛とは取れないし、流れる「イマジン」もそれを助長してる。シドニーの煩悶以前に、二人の関係性はより大きな搾取のジレンマの中にあって、そしてその構図はまったく現代への批評性を失っていない。
でも同時に、ハイン.S.ニョールの笑顔に、シンプルな歓びと感動を見出したいようにも思うんだよね。実際に地獄を潜り抜けてきた人が、異郷の地で祖国のために、これだけの表現を成したその極点にある笑顔*1なのだから。

キリング・フィールド HDニューマスター版 [DVD]

キリング・フィールド HDニューマスター版 [DVD]

*1:なんか『イル・ポスティーノ』のマッシモ・トロイージを思い出すよね。