島成郎+島ひろ子『ブント私史』批評社

ネタバレ特になし。
共産主義者同盟…「ブント」書記長として60年安保を闘った著者の回想録。
前半は共産党入党からブントの設立、60年安保闘争を振り返る内容で、後半は物故した「戦友」に対する追悼の回想と、共著者として記名された奥方による追想録。
基本的には分別のある、抑制された筆致だけど、奥底に迸るものが感じられてなかなか興味深いテキスト。後半はもちろんそうだけど、前半でも友人たちへのシンパシィと愛情が豊かに感じられて、時にちょっとウルっとくるぐらいに熱い「列伝」だった。少なくとも危惧していたような、団塊世代に戯画的な「ナルシスティックな過去自慢」みたいな内容ではなかったし、帯にあるように「戦後史の証言」として、普遍的な資料性と、個人的な思い入れがもたらす喚起的なドラマ性のある本でした。
奥方のパートでは、青木昌彦オルグするために差し向けられたってエピソードが面白かった。青木昌彦って人に関しても、いつか詳しく調べてみたいような気はしている。経済論文を理解するのはハナから諦めているけど…。
評価なし。

ブント私史―青春の凝縮された生の日々 ともに闘った友人たちへ

ブント私史―青春の凝縮された生の日々 ともに闘った友人たちへ