加藤実秋『インディゴの夜』創元推理文庫

ネタバレ注意。
渋谷のホストクラブの面々がトラブルシューティングする連作。
残念なことに、IWGPシリーズの露骨な二番煎じ、という以上の感想を持てなかった。キャラにも設定にもお話のプロットにも、そして何より街やその風俗の描写において、見るべきものが何もなかった。特に初期のIWGPが、いかにエッジが立って、それでいて物語として普遍的な魅力を現出せしめていたか、その離れ業を再認識する結果に。
最初から最後まで、短絡と安直にゲンナリし続けることになったけど、特に挙げると表題作、テツの台詞と伏線の露骨さとか、「原色の娘」の大ラスのジョン太の甘々台詞とか(わざわざ子供使ってこの程度のお涙頂戴かよ、とか)、「センター街NPボーイズ」での若年の価値観に対する言及とか、選挙控えた区長が「お礼」に金払うってありえないだろとか、「夜を駆る者」で警察動員する際のご都合主義とか、とにかくあらゆる点でツメが甘く、それ以上に残念なことに、感性が鈍い。もっと端的に言えば、寒い。
あとメインキャラの一人、ジョン太くんは、どうしてもジョン太夫を思い出してしまって、ノレませんでした。
評価はC−。

インディゴの夜 (創元推理文庫)

インディゴの夜 (創元推理文庫)