ネタバレ注意。
柚木草平シリーズの第一長編。
代表シリーズなのはもちろん知ってるけど、樋口小説の主人公お馴染みの軽口ハードボイルドキャラ、先にいろいろと高校生大学生で読んできたので、同じトーンをおっさんでやられるとちょっとシンドい、つか癪に障るな…という感じで、残念ながら草平くんにあまりいい印象が持てなかった。シリーズで前後して読んでしまった作品…『誰もわたしを愛さない』や『探偵は今夜も憂鬱』ではそうでもなかった記憶があるので、第一長編でまだキャラがこなれていないという面もあるのかも。またもう一つ大きくは、愛すべき加奈子嬢が至言に乏しいというのも。彼女がシリーズに果たす役割は今後ますます大きくなるはずで。
しかし一方で、夏原祐子に端的に、ヒロイン級の女性造形はやっぱりさすが。その意味でラストはこれ以上ないハマり方だし、このラストの行き着く先が気になりつつも、次もきっと何事もなかったかのように別の女性にうつつを抜かしているであろうことが確信されるあたりが、さすがの上にもさすが。
しかしメインの事件のプロットにひとつも言及してないけど、それはそれで正しい読み方だよね…。
評価はC+。
- 作者: 樋口有介
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2006/07/22
- メディア: 文庫
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