宮部みゆき『震える岩 霊験お初捕物控』講談社文庫

ネタバレ注意。
この世ならぬものを幻視する「霊験」を持つ町娘、お初を主人公に描かれる捕物帳シリーズの第一長編。
文章はさすが平易でテンポよく、一方で時代小説としての風合いもしっかり担保されている。キャラクタの造形もそれぞれ過不足なくまとまっている。さすがエンタメスコアの高い宮部作品です。
しかし捕物帳としては、謎解きの肝心な部分が推論に推論を重ねて終始するなど物足りなさがあって、物語が進むにつれてテンションが落ちてしまった印象。「忠臣蔵」に絡ませた伝奇的展開など、プロットに力入ってるのは伝わるだけに、ちょっと残念でした。
評価はＣ。

震える岩 霊験お初捕物控 (講談社文庫)