矢作俊彦『リンゴォ・キッドの休日』角川文庫

ネタバレ一応注意。
警察ハードボイルド、神奈川県警捜査一課・二村永爾シリーズの第一弾。表題作と「陽のあたる大通り」の二編。
この間の『マイク・ハマー』ほどではないにしろ、文章に独特の文学的香気(あるいは単にクセ)たっぷり、《金庫から飛び出して来た新品の札束みたいな笑い》(194p)なんてトガった比喩もたっぷり、それぞれ込み入った事件と人間関係も、解決に至って探偵が「さあ…」とか言って概観してくれるわけでもない。芸術としてのハードボイルドに、がんばってついていく、という感じの読書です。
左翼運動とか好みの題材が絡んでくる表題作が、より好みだったかな。
評価はC+。

リンゴォ・キッドの休日 (角川文庫)

リンゴォ・キッドの休日 (角川文庫)