山田風太郎『幻妖桐の葉おとし』ハルキ文庫

ネタバレ一応注意。
「異色時代小説集」とのこと。初期短編や単行本未収録などのレア短編のコレクション。
忍法帳ではなく、また超自然的な要素もそれほどないが、しかしいずれの短編にも山風奇想、あるいはそのニュアンスは盛り込まれていて、さすが一筋縄ではいかない作品集になっている。単行本化の際にカットされていたり、自己評価もあまり高くない短編群らしいが、充分愉しいよ。
特によかったのは「首」かな。ある特定のアイテムが(短時間で)人々の手を流転していくというフォーマットはたまにあるけど、そのアイテムが井伊直弼の首ってのが、禍々しいケレンで素敵です。
評価はC+。