『十二人の怒れる男』

DVD。
密室裁判劇のクラシック。
90分と短いのもありますが、密室の中で進行しつつもダレることのない脚本の妙、クラシックとしての魅力は充分に味わうことができました。モノクロだし音響も悪いし、特にナイフ出した時のリアクションの演出とかちょっと失笑してしまうぐらいレトロな部分もありますが、密室心理劇という機軸のブレのない強さが頼れます。
ミステリとしては、要所要所のロジックこそシンプルではありますが、「決着」は結局一人ハブり一人トラウマを引き出すという結構な鬼畜ぶり。題材の性格上仕方ない部分もありますが、有罪陣のメイン二人が結構なクズなので、勧善懲悪あるいは人情オチになってしまうのは、法廷ミステリ期待して観るとちょっと物足りないかな。あと容疑者の少年はあからさまにイノセントなので、その辺のキャスティングも…。
総じて、質実な脚本と、ワキ汗全開のキャストの熱演が光る力作ではあります。特に2番のハイトーンヴォイスと9番のお爺ちゃんがかわいかった。

十二人の怒れる男 [DVD]