くるり 『坩堝の電圧』

10th。
ジャンルとかルーツとか、ギミックとかニュアンスとか、どうこう関係ない場所にくるりという音楽集団は至りましたね。昔『さよならストレンジャー』や『THE WORLD IS MINE』に、ヘッドホン抑えて没頭したような聴き方ではなくなったのは一抹淋しさを否定できません*1が、その分ロック、音楽としての包容力と豊かな流れに身を任せるような、そんな向きあい方の心地いい、19曲入りの大作です。
もっとエッジの立った、あるいはケレンのきいた曲に突っ込んでいろいろ書けたら面白いのかもしれませんが、俺はやっぱり歌モノで、メロディの心地いい、ほんでやっぱりちょっとセンチな曲に惹かれてしまうんだなあ。「dog」や「o.A.o」や「のぞみ一号」。
そして特に、歩きながら何気なく聴いていたら、あまりにも美しい旋律とアンサンブルが聴こえて来て、iPodの曲名表示に一瞬意味が繋がらず、それが「soma」から「相馬」に通じた時は、それまで耳を素通りしていた言葉たちも一気に押し寄せて来て、涙がこぼれました。トランペットいいわ。
でも「argentina」はミッツ・マングローブみたい。

坩堝の電圧(るつぼのぼるつ)(初回限定盤B:DVD付き)

坩堝の電圧(るつぼのぼるつ)(初回限定盤B:DVD付き)

*1:でもそんなセンチメントも、「glory days」のラストで拾い上げてくれたりするんだな。その辺がイケメン。