『ダウト〜あるカトリック学校で〜』

DVD。
1960年代、ニューヨークのカトリック学校を舞台に、その長である厳格なシスターの、進歩的で人望を集める神父への「疑い」…男子生徒との「不適切な関係」に対する…を主題に展開するドラマ。
メリル・ストリープ×フィリップ・シーモア・ホフマンというキャスティングの時点で勝ち。まさにジャケ借り。至って地味な話だし、カトリックあるいは広く宗教的な慣習体験の有無により意味や価値が変わってくる作品だと思うが、それをもたない俺なんかでも、見事に清廉なエイミー・アダムス、motherの論理がsisterの規範を凌駕して説得的なヴィオラ・デイヴィスも含めた俳優陣の充実と、最初のブロンクスの光景からラストの雪の中庭まで、ワンカット違わず美しいセット・ロケーション・撮影といった、主題を離れても厳然とした、映画としての丁寧な仕事ぶりに好感が持てた。
メリル・ストリープはまさに頑迷固陋、狂気の一歩手前にある保守性を完璧に演じていたが、フィリップ・シーモア・ホフマンに関しては若干役が弱いかな、という印象はあり。その辺は主題と脚本上やむを得ないところだろうけれど、もったいない感じはする。

ダウト ~あるカトリック学校で~ [DVD]

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