the HIATUS 『A World Of Pandemonium』

3rd。
ロディック・コアとしてのキャッチーな疾走感、ハード・ロックとしての切れ味や攻撃性、そうしたルーツ、あるいは武器を、晒すようにはせず、アコースティックな軟らかさ、ポップの煌きの中に隠し持って。
転換作にしてこれだけの完成度、恐ろしく豊饒な時間が流れる39分です。聴けば聴くたびに、鳴っている多彩な音色、牽引しているリズム、響いている歌声とそこに託されたメッセージに引き込まれていく、そこかしこに幾条もの光が射しているような作品。天使の梯子か。この方向性に俺は大賛成、とにかく前二作までと比較しても柏倉のドラムの存在感が傑出している、そのことだけでも大満足なのに。
特に圧倒的なカタルシスのロック・オーケストラを聴かせる「Shimmer」は超絶名曲。あまりのかっこよさに落涙する、久しぶりの経験でございます。

化学物質が焼き払い
みんな眩ゆい青に変わり
僕の頭はまだ
自分をうつむかせるものだけを捉えている
僕の心が大きく壁に書いてあった
大きく壁に書いてあったんだ
今度こそ目を覚ますんだ
今度こそ目を覚ますんだ
(「Shimmer」訳詞)

あーもう詞もかっけえなあこの曲はよお。
…しかしこんなものを作ってしまったら、エルレの初期衝動に回帰することは可能なんだろうか、とは多くのリスナが思うところだと思うけれども。
とりあえず、俺はこれに凄く満足しています。

A World Of Pandemonium

A World Of Pandemonium