マキシマム ザ ホルモン 『予襲復讐』

5th。
今さら言わずと知れたことですが、超濃厚トゥーマッチな怪作にして快作、さらにはそれが大ヒットのモンスター・アルバムです。
普通に流して聴いてる間は、ヘヴィー・ミクスチャーとしての攻撃性と多種多様なフック、絶妙にポップでエモーショナルなメロディを兼備する、ホルモン・ロックの高性能に浸って聴いていられるわけですが、それでやめとけばいいのに、この作品のもうひとつの核である、トールケースの歌詞カードに付録マンガ、その地獄の門を開けずにはいられないのです。そして悶死。
歌詞読んで、解説読んで、マンガ読んで、画太郎先生のババアから目を逸らして。その間中ずっと、ニヤつくのをやめられません。自分の中で確かに疼く、イタい思い出とか、傷痕とか、引き摺るコンプレックスとか、そうしたものを包括した意味での「中学生」が、圧倒的な濃度と執拗さとピュアネスで、ユーモアと独自の語法と共に、現前にロックとして展開されている。他に類を見ない音楽体験です。
キラーフレーズは枚挙に暇ないのでやらないけど、マジな意味で俺が一番やられるのは表題曲大サビ前の亮君の叫び。本当に感動的で泣きます。こんだけパーソナルな表現を突き詰めて、でもそれが結果リスナたちの期待に十全に応えて、しかもそれを巻き込んでの表現世界になってて、さらには売れるって、この信じ難い達成の、その根源の叫びに震えます。
…とか言いつつ、でもやっぱり一番好きなのは「F」で、最高のキラーフレーズは二の腕のくだり。

予襲復讐

予襲復讐