藤岡真『ゲッベルスの贈り物』創元推理文庫

ネタバレ注意。
世間を席巻しながら、まったく正体不明のアイドル。著名人を次々と屠る謎の殺人者。その二つが、大戦期日本に持ち込まれたという秘密兵器、「ゲッベルスの贈り物」の下で結びつくサスペンス・ミステリ。
…というちょっとぶっ飛んだあらすじのままに、ケレン味たっぷりのストーリィ展開だけど、テンポよくスイスイ読ませるリーダビリティはなかなかのもの。解決に至っては荒唐無稽さが際立ってしまう感はあって、戦記絡みの重厚さなんて求めると完全に肩透かしだけど、俺はこのいい意味での軽佻浮薄、本業広告マンの作家らしいキャラ立ちしてるなーと思って好感が持てた。
メイン・プロットは「暗い日曜日」のネタだけど、確かに面白いよねあの話。いろいろ調べたいけどちょっと怖くてビビってたりして…。
評価はC+。

ゲッベルスの贈り物 (創元推理文庫)

ゲッベルスの贈り物 (創元推理文庫)