永瀬隼介『アッシュロード』双葉文庫

ネタバレ注意。
引退した元トップ女優と、父親を刺殺したその息子、あとはヤクザとか芸能プロの社長とかが絡んでくる犯罪小説。
そんななんのヒネリもない梗概紹介しかできないくらいに、引っ掛かるところのない小説だった。キャラクタは皆類型的で深みに欠け、展開も行き当たりばったり、ノワールとしての凄みはおろか、新堂冬樹的な突き抜けたバカさもない。単にチープでつまらないだけの小説。
新堂冬樹で思い出したけど、このテのチープなクライム・ノヴェルの作家って、ワンセンテンスで顔・表情の描写するの好きだよね。新堂なら「○○フェイス」*1のところ、この人は「凶顔」「髭面」とかだった。安直だよねー、「とろけるような笑み」ってのも何回出てきたか分からんぞ。
あとはラストの文章、《二人は、柔らかな春の木漏れ日の中を、ゆっくりと歩いた。》(595p)って、何を勝手に心暖まっちゃってんだよ、と。
評価はC−。

アッシュロード (双葉文庫)

アッシュロード (双葉文庫)

*1:○○に入るのは「冷酷」「能面」とか。あと「快感ボイス」とかもアリw