笙野頼子『なにもしてない』講談社文庫

ネタバレ特になし。
初めての笙野頼子
中編二編、お話はちょっとアレな女子のアレな自意識と生活。独特のスピード感とユーモア、無頼感があって、パラノイアックでありつつも瓢然としている。「純文学」然として複雑な読み応えの小説。
そう言われるのは厭みたいだけど、やっぱ私小説として読んでしまうところがあって、そうするとでも、印象に残るのは《コミック雑誌の編集を経て、今は評論家にもなっているという、文芸書の比較的熱心な読者だと自称している人》(122p)への言及*1と、接触皮膚炎が身につまされた、ってぐらいだったりもし。今の時期またちょうど悪化してきてね…。
ただ、つまらないとは思わないので、このタイプの小説においてそれは価値のあることだと思う。この本の親本は文芸誌デビューから十年を経て初の単行本だって。苦労人やね…。
評価はC+。

なにもしてない (講談社文庫)

なにもしてない (講談社文庫)

*1:作者の名前、読んでもないのに記憶してたのは、一時期喧しかったこの「喧嘩」のおかげだし。