ネタバレ一応注意。
タイトルも表紙もアレな感じだけど、なかなかどうして、これはトリッキィさの光る、本格の意外な佳品でしたよ。
三部構成で、一章はトラベル・ミステリとしてのツカミをおとなしくやってるけど、二章で過去の殺人に遡って、シンプルさが前衛に転化する密室トリックを仕込み、三章でも同じ思想であっけらかんとしたアリバイ・トリックをものしている。「電話」ってアイテムを活用したトリック、今読むと逆に新鮮で、結構なインパクトがありました。冷静に考えればバカ系のトリックだけども、それはむしろこのベテランに対して褒め言葉でしょう。
かように作品の大半において「田沢湖」関係ありませんw 他にも書簡を活用した展開、意外な犯人、なべてトリック・メイカとしての気概の感じられる、隠れた好編と思います。
評価はB。
- 作者: 中町信
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 1990/07
- メディア: 文庫
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (2件) を見る