帚木蓬生『三たびの海峡』新潮文庫

ネタバレ注意。
朝鮮人の強制連行・強制労働と、そこで嘗めさせられた辛酸に対する時を経ての復讐劇を描いた歴史ミステリ。
ヒトラーの防具』もそうだったけど、描写は非常に迫真的で、引き込まれる。歴史的な価値判断は置いても、もっといろんな歴史を、いろんな視点から勉強しなければならない、という粛然とした気持ちにさせられます。
ただ小説としては、過去部分が読ませるのに比べて、現代での「復讐」の展開が(浮ついて唐突に感じられる「テーマパーク構想」も含め)、なんだか拙速に感じられてしまい、尻窄みなのが残念なところ。
評価はC+。

三たびの海峡 (新潮文庫)

三たびの海峡 (新潮文庫)