andymori 『革命』

3rd。
めちゃくちゃ楽しみにしていました。前作『ファンファーレと熱狂』は結局2010年の私的ベスト・ロックアルバムでした。めちゃくちゃ聴きました。
『革命』のタイトルがアナウンスされた時、このド直球、どんなにラディカルでパンキッシュなアルバムになるんだろうと、一抹の危惧としてイデオロジカルなものになっていなければいいなあと思っていたのですが。
…しかし予想とはまったく違って、このアルバムは完全に歌モノに特化しています。平易な中にリリシズムとロマンティシズムを溶け込ませた、もはや貫禄さえ感じさせる詩作、人懐こいメロディとパンキッシュな潔さの中で、カントリィやフォークの彩りが鮮やかな楽曲、そして少年性を色濃く残したヴォーカル。そうしたandymoriというロックバンドの魅力がすべて流麗にブラッシュアップされた、なによりこれは見事な「うた」の表現であると思いました。

綺麗な人形が欲しいよ 僕にとっての君みたいな
Weapons of mass destruction 東へ東へ
太陽がなんだか恋しいんだ コンクリートジャングルに降り注いだ
Weapons of mass destruction 東へ東へ
(「Weapons of mass destruction」)

突然使われる強い言葉が、日常の風景、その中でのメランコリィや幻視の光景でさえも、何かとても貴重で特別なものとして再認識させてくれるキィとして、鮮烈な効果をあげていると思います。このミディアム・ナンバが、個人的にはこのアルバムのベストかな。でも、引用したいフレーズは他の曲でも枚挙に暇がない。
「CITY LIGHTS」のように圧倒的なアンセムが含まれていないし、楽曲のバラエティという部分では前作の方が豊か、そして期待があまりに高かったので、ややインパクトに欠けるきらいこそありますが、結局何度も繰り返し聴いているし、iPodの同期のチェックボックスから外す曲が見当たりません。
こうしてパンクロックが日常に寄り添って鳴らされ続けるということが、《人間の哀れな営み》における「革命」であるのだと、それは劈頭のタイトルチューンで高らかな宣言をアルバム全体で体現しているような、グッドミュージック・コレクションでありました。

100回 1000回 10000回叫んだって 伝わらない 届かない想いは
100日 1000日 10000日たった後で きっと誰かの心に風を吹かせるんだ
(「革命」)

革命

革命