andymori 『光』

4th。
作を重ねるごとにどんどんシンプルになっていく印象のあるandymoriのロック。
1stにあった吐き散らすような表現、『ファンファーレと熱狂』『革命』に続いたコスモポリタニズムや批評性、現代詩的なフック。今回のアルバムにはそれらはほとんど見当たらず、ただ自分と繋がった人々、そしてそれを繋いでくれる音楽、それらに対する親愛が、まっすぐ、丁寧に唄われています。

僕は見たよ僕は見たよ あの暖かい光
もうだめだと弱音を吐いた君が少しだけ微笑んだんだ
僕は見たよ僕は見たよ あの美しい光
君が君でいてくれたその瞬間 心が照らされたんだ
(「光」)

本当に素晴らしいタイトルチューン、その眩さではなく暖かさにおいて、作品に冠されて揺るがない一文字の、その体現。
そもそも「ベースマン」はバンドのメンバにサプライズ・バースデイ・プレゼントとして贈られた一曲だそうで、それを劈頭に置いてしまう臆面もなさも素敵に不敵。その後も唄われる友達や恋人、リスナーたちへの愛情、その根底を貫いてある音楽へのリスペクトを、小山田のヴォーカルはこれまでから一段ステップを上がった地平で表現していると思いました。別に泣かせの曲じゃなくても、ふと胸をうたれて笑い泣きしてしまうような「うた」の表現です。丁寧に、抑制を効かせて唄っている中、「ジーニー」のようにエモーションが溢れたりするのも感動的。ヴォーカルを録り直して発売のスケジュールが変わったらしいですが、そして達成されたのがこれであれば、その判断の正しさは間違いなく証明されているでしょう。

光と闇が君の前に見えたら 光を目指そう
君の好きなレコードをかけるよ
(「クラブナイト」)

なんでか一番ツボで、涙腺が最も殴打された「クラブナイト」がベストかな。「ラララ」つってシンガロングしながら跳ね回りたいですが…次のツアーはいつだ。

光