腹話術師を探偵役に据えた、往年のミステリマンガ。
「人形」は「からくり」と読ませます。カラクリトリックはないけれど。
今をときめく小畑健作画ですが、この頃はまだ現在のような安定と洗練を得ていませんね。怪奇性と勢いのインパクトに寄った作画で、力入ってる画とそうでない画の落差が激しく、画面構成も統一感がなかったり*1、今から振り返ると若干残念な出来ではあります。「本格ミステリ」としてのプロットに関して言えば、たとえば犯人による被害者・目撃者の行動の統制手段が恣意的に過ぎるものがあったりと精緻さには欠けるので、そうした瑕疵を作画でフォローして、説得力を持たせるようなレベルに至っていないのです。
過去の因縁のサイド・ストーリィなんかは面白かったし、特に「豆州弐面鬼傀儡地獄」なんかの舞台設定、プロットとガジェットの絡みなど、「本格の魅力」は大枠において捉えられている脚本とは思ったので、惜しかったです。今の画力だったらもっと続いてたかな…本格ミステリマンガってのは貴重だからね。
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*1:「豆州弐面鬼〜」はずっとベタ塗りの黒い画面で攻めてたのに、途中からいきなり真っ白になったりとか。