穂村弘『もしもし、運命の人ですか。』MF文庫ダ・ヴィンチ

ネタバレ特になし。
いろんなものを頼んでもいないのに貸してくれる後輩から借りたエッセィ集。
なるほど、面白いし、クオリティが高いと思います。共通のテーマ(色恋だけど)に沿って、これだけ多彩なエピソード並べて、それぞれに異なった余韻を与え。短歌は実作をよく知らないけど(作中で紹介もあんまりないし)、エッセィストとしてはかなりのウデだと思います。
エピソードの使い方が巧い。「苺狩り」とか「東名を歩いてる」とか「イルカに夢中」とか「頓知をきかせてどうするの」とか、男女関係における「あるある」と「不条理」のあわいを衝いて絶妙です。
その詳細は瀧波ユカリの解説に詳しいので省きますが、人気があるのは頷けますね。薄っぺらく氾濫しているコピィは用いたくないのですが、「ある括りの男性階層」に対する、女子からの需要を体現する存在であるものと思われます。
評価はB。

もしもし、運命の人ですか。 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

もしもし、運命の人ですか。 (MF文庫ダ・ヴィンチ)