逢坂剛『クリヴィツキー症候群』講談社文庫

ネタバレ注意。
タイトルからいつもの精神医学ネタだと思いきや(そういう要素もあるけど)、噂には聞いていたもう一つの得意分野、スペイン現代史ネタなのでした。
内戦期を中心に、スペイン史が現代でミステリ的展開に繋がる短編集、スペインという国には非常に興味を持っているので、史的興味をかきたてられるところ大でした。
ミステリ、あるいは冒険小説としても短編にはもったいないような趣向・プロットが凝らされていて(特に「オルロフの遺産」と「幻影ブルネーテに消ゆ」)、落ち着いた中に「時代」の熱気を感じさせる筆致も含め、印象のよい作品集でした。なのでスペインものの長編を読みたくなったのですが、積読ストックにそれが存在したか心許ないところであります。
買うか…?
評価はB。