菅浩江『鬼女の都』祥伝社文庫

ネタバレ注意。
京都を舞台に、同人仲間の女子三人があれやこれやに巻き込まれるお話。
なんつーか、端的に言って生理的に合わない小説だった。主人公たちのキャラクタも、京都の「都市小説」としての描写も、重複や迂遠さがそこかしこでまどろっこしく粘ついて、読んでて気持ち悪さが勝ってしまった。
SFが本職の作家ながら本格ミステリを志向して、仕掛け・トリックは凝らされてあるけど、この筆質は俺がミステリに求める鋭利さ、明晰さとは対極にあるものと感じられたし、「ミヤコ」をめぐる最終的な構図はまず真っ先に思いつくそれで、こんだけ迂遠にうだうだとやった結果提示されるのがこの画ってのはちょっとどうかと思った。
京都ネタで、かつ本格業界でも評判を聞いてた作だったのでちょっと残念だった。まあ俺みたいに、京都って土地に無根拠な憧れを抱いてるワナビー冷や水ぶっ掛ける程度にはパワーのある作品ではあるかなw
評価はC。

鬼女の都 (祥伝社文庫)

鬼女の都 (祥伝社文庫)