『スティング』

名作鑑賞会。
コン・ゲーム映画のクラシック・スタンダード。アカデミー作品賞・監督賞含む七部門は伊達ではなく、完成度の高い、でもキュートで爽快な傑作でした。
師匠を殺された若い詐欺師が、伝説の詐欺師とその仲間たちと協力して、闇世界の大物をハメたおす話です。それ以降の映画史の、様々に込み入ったプロットの作品に接した後では、コン・ゲームものとしては非常にストレートで、捻りが足りないようにも思えますが、でもそれは一方で、作品に一級の爽快感と安定性をもたらしています。変に込み入っていない分、キャラクタの魅力も率直に伝わってきますね。伝説の詐欺師、ゴンドーフを演じるポール・ニューマンはもうシブすぎて惚れるし、主人公・フッカーを瑞々しく演じるロバート・レッドフォードも、ハリウッド王道の魅力を湛えています。ブラッド・ピットがその「再来」と評されたのもむべなるかな。単純に似てるし。あと名のある女優じゃないみたいだけど、ビリー役のアイリーン・ブレナンさんも凄みがあって素敵でした。
1973年公開ということですが、主題歌「ジ・エンターテイナー」を中心とする素朴で陽気な音楽、ワイプアウトなんかのカット割の仕方が(おそらく時代性以上に)作品をレトロに見せていて、「古き良き喜劇映画」の愛すべき風合いを醸し出しています。王道のプロット・ストーリィと共に、こうした演出面においてもぬかりのない作品と思いました。
明日に向かって撃て!』も観ーようっと。

スティング [DVD]

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