フジファブリック 『MUSIC』

5th。
素晴らしいアルバムなので、感傷を交えずに感想を書くことがバンドへのリスペクトだと思うのだけど、それでもやっぱり、そういうわけにはいかないよね。

君の横顔が とても素敵だったことはもう
忘れたつもりでも 涙が出るよ
(「Bye Bye」)

遠くにいる君まで 届けられたら良いな
歌うよ君の方へ 届けられたら良いな
(「Hello」)

特に「Bye Bye」に関しては、カーラジオでいきなり聴いて油断していたので、見事に号泣しました。事故るわ。
「MUSIC」の涼やかなギターから幕を開け、「夜明けのBEAT」はライヴでの圧倒的な高揚空間が容易に想像できるディスコビート・ロック、「Bye Bye」のセンチメントに涙しつつ、「Hello」や「会いに」のポップネスにも、別角度から涙腺が刺激される。後者山内のボーカルも、志村の飄げた感じとは一味違って素敵でした。
妖艶さは若干影を潜めている印象*1はあったけどその分、「君は僕じゃないのに」「眠れぬ夜」というバラード系の深さにやられました。「君は〜」聴いて、バラード系最高傑作キタと思ってたら、最終曲にロック・クラシックが待っていたよ。
各々の高いプレイヤビリティと、独特のソングライティングセンスが織りなす、相乗効果としてのフジファブリックのロック。僕らが愛したそのままに、おかしく、かっこよく、鮮烈なままであって。
去年の年末の時点では、こうして新しいアルバムが聴けるとは思わなかった。「惜しい」という思いも感傷もどうしようもなくあるけれど、でもだからこそ、あの時のエントリと同じ言葉で、今度はこの作品に対して、もう一度。
素敵に捻くれた、最高のロックを、ありがとう。

永遠に続くレールは
真っすぐに伸びてゆくよ
スピードを上げて行くんだ
時をかけ抜けていくよ
(「Hello」)

MUSIC

MUSIC

*1:「Mirror」のシタールみたいな音が一番キいたかな。